第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜
「分かれ道か……」
しばらく歩くこと数十分。
今まではこれといった分かれ道もなく迷わず進んできたのだけれど、ここにきて道が二股に分かれた。
右の道からはいっそう強く冷たい風が吹き荒れている。
「とりあえず、左に進んでみましょうか」
数十分前の戦闘やらでかいた汗が冷えてきて、誰もが心底寒い思いをしていたので、反対する者は誰もいなかった。
左の道へ進むと、開けたホールに出た。
残念なことにどうやら行き止まりみたい。
『行き止まりですか……』
ガーネットも相当寒い思いをしていたんだろうね。
かなりガッカリとした声色で、思わずと言った風に呟く。
「ねぇ、これなんだろう」
そんな中、ビビの声だけは弾んでいた。
指さす先を見ると、美しい花々に囲まれた氷の台がある。
「ん? これは……」
氷の台の上にはこれまた氷の塊があって、よく分からないけど、それは何かが凍った物のようだった。
「ん〜なんか怪しいなぁ……おいビビ、お前の魔法でこれ溶かせないか?」
「変な物がでるやもしれぬぞ」
「だ〜いじょうぶだって。ほら、ビビ」
「う、うん」
恐る恐る、ビビが氷の塊に向かって炎を出す。
と炎の熱で氷の塊は急速に溶けていき、次第に中からピンクの毛が見えてきた。
あれって……
「あっついやんけー! なにさらすんじゃワレェ!」
中から飛び出てきたのはモーグリだった。
赤いボンボンを揺らして、勢いよく飛び跳ねる。
「はっ、動けるやんけクポ! おおきにクポ〜!」
関西弁だ……
ジタンの仲間の人にもいたけど、この世界で関西弁を聞くと不思議な気持ちになるね。
「モーグリだったのか……」
もしかしてジタンはお宝だとでも思ってたのかな?
ガックリと肩を落としていた。
「助けてくれたお礼に、俺のテント泊まって行きいや!」
「テントか……」
ジタンが渋い顔をして悩んでいる。
このモーグリは氷漬けにされてたからか、時間感覚が狂っているのかもしれないけど、まだ寝る時間じゃないもんね。
それでもビビが再び瞳を輝かせていたので、助け舟を出した。
「ここでご飯休憩をするのはどうですか?」
「それならいいかもな」