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王女様に祝福を【FFIX】

第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜




カゼハ、トオリミチ……

ジャマスルナ……


唸るような不気味な声が聞こえたかと思うと、雪男を連想させるくすんだブルーの巨体が二つ現れた。

マンモスのような大きく反りたった牙が、口元の両脇からそれぞれ一本ずつ飛び出ている。


「ガーネット……怪我はないな?」

「ごめんなさい、わたくしのせいで……」

「いや、無事ならよかった」


ジタンはそう言って目元を少し緩めた。


「すぐにケアルをかけますね!」


私がジタンにケアルをかけている間に、雪男のような四足のモンスターと、スタイナーの戦闘は始まっていた。


「このバケモノめ!!」

「スタイナーのおじちゃん、危ない!!」


牙と剣が交わされる音、炎が爆ぜる音。

横目で見ると、ビビがモンスターからの攻撃を受けて空中を舞っていた。


「ビビ!!」


ジタンへとケアルをかけ終わった私が慌てて駆け寄ると、ビビは低くうめき声を上げている。

ケアルをかける。

ビビの表情が和らいだのを見て、ほっと息を付いたのもつかの間、地面に一回り大きな影がかかった。


ハッと見上げると、獣臭さと共に振りかぶった鋭い爪がすぐそこまで近づいていた。


「ファイア!!」


モンスターの体に炎がまとわりつく。

その巨体はプスプスと煙を上げて崩れさっていった。

自分でも気づかないうちに止めていた息をはき出す。


「ありがとうございます、ビビ」

「ううん、ボクの方こそありがとう」


スタイナーの方を見ると、もう一体のモンスターをジタンと共にちょうど倒し終えた所だった。

よかった、皆無事だ。

剣に付いた汚れを振り払いながら、二人がこちらにやってくる。


「姫さま、お怪我はございませぬか!」

「ええ、ジタンのおかげでわたくしは大丈夫です」


そう言うと、スタイナーは少し嫌そうな顔をした。

おそらくジタンに助けられたことが癪に触るのだろう。


「ジタン、先ほどはありがとうございました」

「気にすることないぜ!」


にっと笑うジタンを見て、スタイナーはますますその眉間に皺を寄せる。


うーん……なんとかならんものかね。

といっても大した考えも思いつかず、とりあえずスタイナーとジタンにケアルをかけて私達は再び先へ進むことになった。


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