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王女様に祝福を【FFIX】

第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜




無我夢中で走ること数分。

私達は立ち止まって荒く呼吸を整えていた。

最後の方はジタンに引きずられるように走っていた私は、氷の上にも関わらずその場に座る。

肺と足が痛い……あと、脇腹。

寒いのなんて、どっかに吹っ飛んだ。

むしろ汗かいてる、暑い。


「なんとか、まけたみたいだな」


髪をかき上げ、すでに息が整ったのかジタンが来た道を見やる。

いちいち仕草がキマってる。

これも劇団員をしていたからなのかな。


「それにしても、先ほどのビビ殿の魔法は素晴らしかった。モンスターどもを一気に倒してしまわれるとは!」

「そうだな、ビビのおかげだぜ!」

「そんなことないよ…………」


恥ずかしそうにとんがり帽子を握るビビは、褒められて嬉しそうだ。


「今のでけっこう奥まで来たな。こっちの道であってたか?」

「そんな脇道には入ってないと思いますけど……」


というかさっきから思ってたんだけど、この道怖いんだよね。

細く滑る氷道なのに、両壁がなくなって吹き抜けになっている。

恐る恐る道から顔を出して底を覗く。

吸い込まれそうな黒が広がっていて、底は見えない。


怖い……落ちたら大変だ。

目を離そうとするのに、なかなか離せないでいると、吹き抜けの底からぶわりと風が吹き上げてきた。


「ガーネットっ!!」


ぐんっと肩を引っ張られた。

ついで温かな体温に包まれる。

顔を上げると、さらりとした金髪がすぐ側で揺れた。


「ジ、ジタン……?」


私、抱きしめられてる?

なんでいきなり!?

彼の真意を確かめようと首を捻ると、熱い吐息が首筋にあたった。


ひょえぇぇ~!!

そういうことを気軽にされると、困るんですけど!!

と私が一人で慌てふためいていると、ポタリと何かが垂れ、氷の床を赤く染めていることに気がついた。


うそ……血……?

垂れた血を目で追っていくと、それは彼の腕を伝い、二の腕あたりから止めどなく溢れているのが分かった。

爪で引っかかれたような三本線。

そこから派手に血が吹き出ている。


「ムムッ、何奴!!」


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