第1章 はじまり
パチリと目を開けると、ふんわりと垂れ下がる天幕が目に入った。
前後の感覚がつかめないあの白いバーチャル世界ではなかった。
私が空から落ちてきた世界…ガーネットさんが住む世界に戻ってきたらしい。
おそらくこの部屋はガーネットさんの私室なんだろうな。
しかし……
改めて見るとこのベッド、すごいな。
屋根のような部分から垂れる透けた布は一目で品質が良さそうだとわかる。
所為お姫様ベッドと呼ばれるようなものなのだろう。
寝心地もふわふわで最高だし。
ガーネットさん、かなりいいベッドで寝てらっしゃる。
枕のふかふかさにも改めて感動していると、コンコンッとノック音が部屋に響いた。
ついで「失礼します」と凛とした女声。
「ガーネット様、お食事をお持ちしました」
ガラガラとワゴンカートを押してきたのは、片目を額あてで隠したこれまた美人な方だった。
その凛とした佇まいと帯剣していることから、剣士だろうか。
雰囲気からしてできる人っぽい。
私がそんなことを考えている間にサイドテーブルに料理が並べ終わったようで、美人さんは「では、失礼します」とだけ言って部屋から出ていった。