第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜
なんてぐちぐち思っていると、ビビが衝撃発言。
「おじいちゃんから話を聞いただけなんだけど……。ここは"霧"の下から上まで続いてる洞窟なんだって」
おお、なんと!
じゃあ霧の上に出れるんだ!
それは嬉しい。
やっぱり霧の中を歩いていくのって、けっこうストレスで。
ジタンが先導してくれたから良かったけど、一人だったら絶対迷ってたし。
なんか精神的に疲れるんだよね。
やっぱり青空の下が一番だと思う。
「素晴らしい! ビビ殿のおじい様は博識ですなっ! "霧"を脱したあかつきには、是非とも感謝の言葉をお伝えせねば!」
スタイナーもかなり興奮した様子で喜んでいた。
だけどそれに対して、自分のおじいちゃんを褒められたにも関わらず俯くビビ。
「おじいちゃんからはいろいろ教えてもらったけど、もう死んじゃったんだ……」
一瞬にして気まずい空気が流れる。
「そ、それは……知らなかったとはいえ、失礼致した」
「ううん、気にしなくてもいいよ」
すぐに顔を上げてビビは首を振った。
私達に気を遣わせないためだろう。
まだ小学生くらいの歳に見えるのに、ビビは強い子だ。
というか、この歳で一人でアレクサンドリアまで劇を見にきたことがすでにすごい。
私なんて近所のコンビニですら夜ご飯後の外出禁止だったのに、ビビのお父さんお母さんはなにも言わないのかな。
我が家でもお兄ちゃんは何も言われてなかったから、やっぱり男の子だとそういう所が寛容なのかもしれない。
それでも私より年下であるビビが一人なことは、決して心配性ではない私であっても気になった。
「ま、とにかく行ってみるしかねえな」
ジタンが腕を擦りながら、私達を洞窟へと促す。
それに頷くと、私達は冷気漂う洞窟へと入っていった。