第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜
「これがその洞窟か……」
岩山の途中、ぽっかりと口を開いた穴からは、冷え冷えとした冷気が溢れ出ている。
穴の外側まで氷結が侵食しているみたいで、岩でできたアーチのところどころに柱状の氷が顔を覗かせていた。
「あ、あの……」
「どうした、ビビ?」
「氷の洞窟って、知ってる?」
氷の洞窟……。
この洞窟を形容するなら、まさにそうだろう。
まだ入り口に立っているだけだけど、すでにかなりの寒さ。
「ああ、聞いたことはあるけど……ここがそうなのか?」
「うん、たぶん……魔の森に近いところにあるらしいんだ」
『……わたくしも聞いたことがあります。氷におおわれた美しい場所だそうですね』
そうなんだ。
ここからだと洞窟の中は氷同士が反射し合って、水色に発光しているみたいに見える。
たしかに幻想的でキレイ。
ほんとこの寒さがなければ、素直に楽しめるんだけどね。
ガーネットが苦笑した。
彼女もこの寒さを体感してるから共感してくれていることだろう。
とにかくね、めっちゃ寒いのよ。ここ。
それにほら、私達さっきまで霧の中にいたじゃない?
だから服がちょっと濡れてて、それが地味に凍り始めてて。
まあ寒い。
これからここに入っていくのかあ。
ちょっと憂鬱。
いや、かなり憂鬱。