第4章 霧の上へ〜氷の洞窟〜
ビビの可愛さに身悶えしていると、霧の中からモンスターが現れたらしい。
私達の前を歩いていたジタンが立ち止まり武器を握る。
見るとリスを巨大化したような紫色のモンスターだった。
この世界にいるであろう凶悪なモンスターの数々を思い描いていたのだけど、なんだか拍子抜け。
チョロチョロとその場を駆ける姿はとてもかわいらしい。
「なんだか、かわいいですね」
ふとこぼすと、スタイナーから忠告が飛んだ。
「かわいく見えてもモンスターはモンスター! 姫さま、決して近づかないように」
私の後から前に出ると、スタイナーも剣を抜いた。
私と手を繋いでいたビビも、杖を握る反対の手に力を入れて構える。
そのリス型のモンスターが倒れるのに、そう時間はかからなかった。
ジタンが初撃を与えて、次いでスタイナー。
それだけでモンスターは息絶えた。
呆気ない。
「こいつはさばいて食料にしよう」
武器として使っていたものより一回り小さいナイフを取り出して、ジタンが器用にモンスターをさばいていく。
皮を剥いで、内臓やらの生々しい部分が露になった。
うわっ、グロい。
私は思わず目を背けちゃったけど、ジタンも同い年くらいなんだよね。
ほんと、すごい。
なんか住んでる世界が違うみたい。
まあ、実際にそうだったんだけどさ。
「よし、とりあえずはこれでいいか」