第3章 落ちた劇場艇〜魔の森〜
ブランク…………
私達を助けに来てくれたのに、こんなのって。
いや、でも石になってしまっただけだ。
この世界には石化を解く魔法もあったはず。
「助ける手立てはないのでしょうか……」
「……今はないな」
視線をそらし、ジタンは答える。
『そんな、わたくしたちのために彼は……』
考えてみれば、森全体が石化しているのを、普通の魔法で解けるのかも微妙だ。
考えている以上に、ブランクを助ける方法は難しいのかも。
「なに、石化を解く方法はきっとある。あとからでもじゅうぶん間に合うさ。オレたちは今できることをしよう。ブランクからもらった地図によれば、ちょうどこの森の南に洞窟があるんだ。その洞窟から“霧”の上に出ることができるかもしれないんだ、行ってみよう」
ジタンは相変わらずの明るさで笑った。
彼は、怖くないんだろうか。
仲間が石になってしまって、
自分もそうなるかもしれないって、
そう不安にならないのかな。
私は…………
正直不安だ。
もし、ジタンもブランクみたいになったら?
今度は石になるだけじゃなくて、死んでしまったら?
彼だけじゃない。
スタイナー、ビビ…………ガーネット、それに私も。
この世界では、地球なんかよりもずっとずっと死が身近なものなんだと、否が応でも気づかされる。
心がざわついた。
ざわざわと落ち着かない。
「怖いのか……、ガーネット?」
ふいに覗き込んできた青い瞳。
力強く輝いて、私を見詰め返す。
彼の口角がにっと上がった。
「だ~いじょうぶ、オレがついてるって!」
ジタンのその自信満々な顔を見ていたら、少しだけ不安が和らいだ。