第3章 落ちた劇場艇〜魔の森〜
「あ……ブランクのこと?」
赤髪の彼はブランクというらしい。
ビビは途端に俯くと、歯切れ悪くポツポツと教えてくれた。
「あの時、お姫さまが気を失った後、森がなんだかおかしくなって、中心の方からだんだん石化の魔法がかかっていったみたいにモンスターもなにもかもが石になっちゃって…………ブランクも石になっちゃったんだ」
『そんな…………』
私もガーネットも、予想していなかったことに思わず言葉を失う。
「たぶん、ブランクがモンスターに捕まって時間をかせいでくれたから、僕達は無事に出られたんだと思う」
そう語るビビはひどく悲しげだった。
私達が眠っている間に色々あったんだね。
ふと、ジタンの様子が気になった。
ブランクは元々ジタンの仲間だったのだから、彼が気にしていないわけがない。
でも昨日のジタンからは、とくに変わった様子は感じられなかった。
そういえばジタンは今どこにいるんだろう。
スタイナーはすぐそこにいるけど、彼の姿は見当たらない。
私がそわそわしていることに気づいたのか、
「ジタンならたぶん森の方に行ったよ」
とビビが教えてくれた。
ビビに軽くお礼を言うと、私は遠くに広がる森に向かった。