第3章 落ちた劇場艇〜魔の森〜
頭を上げ、それぞれの顔を見ていて。
ふと違和感がよぎった。
あれ?
なんか……えっと、なんだろう。
そのはまらないピースの存在は、突然声を荒らげたスタイナーの声に霧散してしまう。
「ビビ殿はともかく、そやつにそのような言葉は必要ありませぬ! そもそも、このようなことになったのは、貴様が姫さまをさらったことが原因!! それを後で助けたからと言って、偉そうにするのは全くお門違いである!」
「スタイナー! わたくしは自分の意思でアレクサンドリア城を出たのです」
ジタン達は協力してくれただけだ。
そう思って言ったのだけど、その後のジタンの言葉に度肝を抜かれた。
「そう、そこへガーネット姫をさらいに来たオレ達タンタラスと意気投合したってわけさ」
えっ、そんなの聞いてない!
思わずジタンをバッと見てしまった。
スタイナーも驚きに目を見開いている。
彼は私の発言に対してだろうけどね。
「そ、それはまことですかっ!?」
信じられない面持ちをこちらに向けるスタイナー。
彼の手前、小さく咳払いをして私は一旦驚きを追いやった。
「この方が言った通りです」
すまし顔で答える。
「まっ、そういうわけだからさ、仲良くやってこうぜ、おっさん!」
ジタンは得意げに笑っていたけど、それを見てスタイナーはますます口を曲げていた。