第3章 落ちた劇場艇〜魔の森〜
ジタンside.
集団の一員であるからには、ボスの許しがなければ行動できない。
どうしようか……
オレはその場を後にしながら、思い出す。
オレの言葉にいちいち反応して、顔を赤くする彼女。
かわいかったよなぁ……
王女様だったから?
傾国の美女とも言われてるくらいだ。
相応の魅力はある。
……やっぱりその程度の。
そう考えて、ふとブリ虫に慌てる彼女の姿を思い出した。
……それだけじゃないな。
とにかく、気になるコであるのは間違いなさそうだった。
「まあ、考えるまでもないな。見殺しにはできない」
「……こりねえな、おまえも」
ふと顔を上げると、呆れたような顔のブランクがいた。
「今度はなにをしでかすつもりだ?」
「ガーネット姫を助けに行くのさ、あのおっさんも一緒に連れて行く」
「正気か? 森の主ってのがどんな奴かはわからねえんだぜ? だいいち、ボスがそんな勝手なこと、許すわけがねえ」
「わかってるさ……」
ブランクはため息をつくと、その赤髪をがしがしとかき混ぜた。
「ったく、おまえの思い切りの良さには相変わらず嫌気がさすぜ」
彼の言葉に苦笑する。
それもそうかもしれない。
ガーネット姫を助けに行くために、オレは今からタンタラスを抜けようとしている。
まあ、これが初めてってわけでもないけど。
「とっととボスと話つけてきな、モタモタしてたら手遅れになるぜ」
ブランクはそれだけ言うと去っていった。
あいつなりに応援してくれているらしい。
オレはボスの元へと急ぐ。
決めたからには失敗は許されない。
ガーネット……無事でいてくれよ。