第2章 家出騒動
「なんだってこんな。ガーネット姫もいるんだぞ!!?」
「貴様、姫さまに触るとは何事!!」
「そんなこと言ってる場合か!!」
そんな阿鼻叫喚する劇場艇にさらなる刺客が訪れるようで。
ガラガラ。
物々しい音を立てて城の壁面が開き、そこから黒光りを放つ巨大な銃口が姿を表した。
『あれは……!』
今までのよりも一回り大きなそれは、空気を揺るがす爆発音をさせたと思うと、燃えたぎる炎を吐き出した。
ぎゅっと目を瞑る。
けど衝撃はこなくて、なんとそれは劇場艇の目と鼻の先で止まっていた。
いや、止まってはいない。
生き物のように、吐き出された炎が空中に浮いている。
あれは、なんなんだろう。
なんで炎が空中に……?
「もう~観念ならん! 姫さまから手を放すのだ!!」
燃える炎を背景に、スタイナーが剣を抜いた。
「おっさん、うしろを見ろ!」
「そのような手にはだまされんぞ!」
ジタンの忠告も聞かず、スタイナーはジタンに斬りかかる。
不安定な足場に、態勢を崩しながらもジタンは剣を受けた。
こんな時に……
スタイナー、あの大きな炎に気づいてないの!?
信じられない気持ちで、私も叫ぶ。
「お願いスタイナー、後ろを見て!!」
「ええいっ、観念するのだ!!」
ダメだ、まったく耳を貸そうとしない。
その間にも炎は膨らみ、ついには破裂するのを耐えるかのように小刻みにその身体を揺らし始めた。
「ボムがぁ」
「ボムが爆発しそうっスよ」
「ええいっ、そのような手にはだまされんぞ!」
メラメラと燃え盛る炎の熱。
熱い。
そのことにようやくスタイナーも気づいたのか、彼が振り返り、カランカランと剣を落として腰を抜かした瞬間。
視界はゆっくりと白に埋め尽くされ。
凄まじい轟音を響かせて、爆発した。