第1章 はじまり
ふわりふわりと心地よく浮いていた身体を、誰かに揺り動かされた。
もう少し寝ていたい、と二度寝を決めこもうとするも、揺さぶりは激しくなって仕方なく目を開ける。
すぐそこに美少女の顔があった。
「どわあっ!」
思わず後ずさると、彼女も驚いたのか体を揺らした。
「……あの、あなたは?」
そう彼女に尋ねた私だったけど、見覚えのある顔だと感じていた。
それに加えて、辺り一面バーチャル世界のような真っ白な空間。
どこ、ここ。
というか身体が浮いてる。
物理法則を無視するんじゃない。
「わたくしはガーネットと申します」
目をまたたかせながら、目の前の彼女は遠慮がちにそう名乗った。
このべっぴんさん、日本人顔なのに外国名らしい。
というか彼女は日本語を喋っているので、ハーフとかなのかもしれない。
美人だし。
「わたしはレイナっていいます。あの、ここって……?」
「わたくしも今気がついたばかりで、隣にあなたがいたので何か知っているかと思い起こしたのです」
随分丁寧な喋り口で、ガーネットさんは説明してくれた。
「そうなんですか……あっ!」
ガーネットさんの顔を見ていて思い出した。
彼女、さっき鏡で見た姿とまったく同じだ。
あの超絶美人の!
どうりで見覚えがあるわけだ。
「なにか分かったのですか?」
「あ、はい、でもどう説明したらいいのかな」
自分の中でもいまいち整理がついてない。
頭を捻らせて考えていると、
「分かっていることを、一つずつ話してみてください。整理されてなくてもよろしいですから」
ガーネットさんは見た目だけでなく、性格まで素敵な方のようだ。
彼女の優しさに甘えて、今分かっていることをそれこそ箇条書きのように一つずつ私は説明していった。