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王女様に祝福を【FFIX】

第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~



ジタンside.


「レイナの髪ってきれだよな」


さらりさらりとなびく彼女の髪を目で追っていると、その言葉はぽろりと口からこぼれ落ちた。

こうやって夜の光に照らされると本当にきれいで。

自然とその銀糸のような髪に目を奪われていたせいか、オレはしばらく彼女の顔色が曇っていることに気づかなかった。


「…………でも、私はこの髪……あんまり好きになれないんだ」

「え、こんなにきれいなのに?」

「そういってくれるのはすごく嬉しいんだけど……」


数秒口をつぐむ。

続きを言おうか迷っている様子がレイナの揺れる視線から見てとれた。


「…………でも、クジャと似てるでしょ?」

「え?」


さらに数秒の時を待って出てきたか細い言葉に、オレは思わず懐疑的な声を出してしまった。

その理由は思ってもみなかったから。


クジャと似てる……?

そういえば黒魔導士の村で初めてレイナを見たとき、オレたちもそんな印象を受けたことを思い出した。

クジャと同じ銀髪に透けるような水色の瞳。

青白いほどに白い肌などは特にクジャをほうふつとさせた。


でも、今思い返してみればそれだけ。

同じ特徴を持った人なんて、きっとこの世にはたくさんいるだろう。

そのうちの一人がレイナだったってだけ。


とは思うものの。


彼女の様子を見るに、きっとかなり悩んでいることなんだろう。

ならばと思い、オレは努めて明るい声を出した。


「そんなに似てるかな?」

「似てると思うけど」

「そうか~~?? でもさ、雰囲気とか全然違うよ。それに、あいつみたいに回りくどいしゃべり方もレイナはしないだろ?」

「それは、そうだけど……」

「だろ? 仮にさ、髪の毛の色が同じだったとして、考え方や性格が違うんだから、全くの別物だよ。レイナとクジャは、全くの別人」

「まったくの……べつじん……」


かみしめるように、レイナはオレの言葉をゆっくりと復唱した。


クジャとレイナの関係は詳しくは聞いていない。

いつかレイナが話してくれればいいと思っていたから。


でも、もう聞いてもいいかな。

頭の中に浮かんだひとつの予想を、オレは思わず口に出した。

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