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王女様に祝福を【FFIX】

第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~



テーブルの上を布巾で拭いたり、簡単な食器の後片付けを行ってから私も残った食器を運びに台所へ向うと、ちょうど話し終えたのかジタンとすれ違う。

台所には食器を洗うエーコの姿だけ。


「エーコ、残りの食器全部持ってきたよ~」

「ありがとう」


お礼を言うと、水道を止めたエーコに数秒見つめられる。


「エーコ? ……えっと?」

「……今回はエーコの負けね」


ふいと視線をそらし呟くエーコ。


「負けって……もしかして料理勝負のこと?」


そういえば今回の料理って勝負してたんだっけ。

食事中に色々話しててすっかり忘れてたけど。


「エーコのシチュー美味しかったよ? ブリ虫はもう入れないで欲しいけど」

「でも、レイナに手伝ってもらっちゃったし……」


エーコは火力が足りなかった時に私が手伝ったことをかなり気にしていたらしい。

でも私はただ炎出しただけだしなあ。

具材とか味とか色々考えてシチュー作ったエーコの方が、私の焼き魚なんかよりよっぽど良かったと思うんだけど。


「それなら私だってモーグリに魚釣ってもらったし……じゃあ今回はおあいこってことでどう?」

「そ、そうだったのね……おあいこ……うん、そうね、わかったわ!」


さすがに私に勝ち星が付くのは、なんとなく私の気持ち的にも気まずかったし、納得してくれたようでよかった。

何て思ってたら、私の予想だにしていないことをエーコから宣言される。


「決めたわ! レイナはエーコのライバルとして認めてあげる!」


ラ、ライバルって、何のですか!?


エーコはそれだけ言うと満足したのか、鼻歌を歌いながら食器洗いを始めた。

……どうやら、私に小さなライバルができたらしい。


エーコが楽しそうだし……まあいっか。

私は深く考えるのをやめた。

それに、何だかエーコとの仲が深まったような気がして、変かもしれないけど嬉しくもあったから。







食事が終わると日が傾き始めたので、エーコのお言葉に甘えて私たちはマダイン・サリにお泊りすることになった。

クイナはモーグリと釣りをしていたり、ジタンは武器の整備をしていたりと、各々が好きに過ごしている。

ビビの姿は見えないけど、村の中に散歩に行ったのかな。

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