第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
500年前のこと、マダイン・サリに召喚士の一族がやってきた。
召喚士の一族は、とてつもなく強大な力をもつ召喚獣を呼び寄せることのできる特別な力を持っていた。
いつ誰にこの力を悪用されるかわからない。
いつしか召喚士たちは身を隠すように暮らすことを余儀なくされたが、彼らは自然豊かなマダイン・サリでの生活を幸せに過ごしていた。
しかし10年前、突然村を天変地異が襲った。
多くの人々が亡くなり、生き残った人々も無事ではすまなかったらしい。
ぽつりぽつりと人数は減っていき。
そして1年前に彼女のおじさんが死んでしまうと、ついにエーコは召喚士一族の最後の生き残りとなってしまったのだ、と。
「そんな……」
「エーコって6歳だよな。じゃあ、エーコは大災厄の後に生まれたってわけか」
「そうよ、エーコはアイしあって家庭をもった父さんと母さんから生まれたの。って言っても、小さいころに死んじゃったから顔も覚えてないんだけど」
「そうか……」
「気にしなくていいの! モグたちが一緒にいてくれるから、全然さみしくなんかないんだから!!」
「クポ~ッ!」
いつの間にか窓の外や扉の近くで話を聞いていたモーグリたちが声をあげた。
彼女たちだけで生活するのは楽なことではなかっただろう。
それでもみんなで協力して暮らしてきたんだ。
そっか。
エーコとモーグリたちに深い信頼関係があるように見えたのは、そんな理由があったんだ。
エーコの生い立ちを聞いてしんみりしていた空気のなか。
食べる手を止めて聞き入っていた私は、再びシチューを食べようとスプーンを動かした。
ふと、そこには見覚えのあるものが。
ん?
ちょ、ちょっと待って、これって……?!