第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
「だ、だめよ!! これはレイナとの勝負なんだから! レイナに手伝ってもらったら勝負にならないじゃない!」
エーコがぴょこっと飛び跳ねて主張する。
しかし、クイナも負けじと口を開いた。
「料理はどんな時でも美味しくあるべき……ジタンに少しでも美味しい料理を食べさせたいと思わないアルか!?」
「うぅ……!! それは、でも……」
エーコがもにょもにょと口先で何事か呟いている。
あのエーコがおされてるって珍しい。
料理が関わると、クイナって色んな意味で強いかも。
クイナの熱量に負けたのか、ジタンというワードに負けたのか。
エーコは観念したように「わかったわ」と肩を落とした。
それを見て、クイナが嬉々として腕を振り回しはじめる。
「さあレイナ、さっそくファイアを出すアルよ!! 強すぎず弱すぎず、美味しい料理を作るにはちょうどいい火加減アル!!」
「りょ、了解!!」
熱量の高いクイナの指示に従って、私は手からファイアを出した。
そんなこんなで料理はできあがって、いざ実食。
村の中を見て回っていたらしいジタン達をモーグリに呼んでもらって、エーコの家にある一番大きなダイニングテーブルを皆で囲んだ。
「どれもおいしそうね」
「さっそく食おうぜ!」
エーコが作ったシチューがお椀によそわれ、私が作った焼き魚も次々と切り分けられていった。
味見しなかったけど、しょっぱくないかな……。
生焼けだったりしないよね……?
なんか、自分が作ったものを食べてもらうのって緊張する……!
魚の白身が皆の口に運ばれるのをどきどきと見つめていると、ジタンの顔がぱっと華やいだ。
「うまいな!」
「ほ、本当!?」
「レイナお姉ちゃんも料理上手だったんだね!」
「魚焼いただけし、そんなことないよ」
口ではそんなことを言いながら、私の心は幸せでいっぱいになっていた。
うわあああ……作った料理を美味しそうに食べてもらうのってこんなに嬉しいんだ……!
魚焼いただけだけど、作ってよかった!