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王女様に祝福を【FFIX】

第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~



エーコの後に続いてマダイン・サリの中に入っていく私たち。

しかしいくら進めども、入り口で感じた村の印象から変わることはなく、景色は廃墟同然。

いったい、エーコの家族はどこにいるんだろう。


ふと、隣を歩くダガーの顔色が暗いことに気づいた。


「ダガー?」

「…………え?」

「なにか考え事?」


私が話しかけると、はっと顔を上げて、そしてまた何か思いつめたように顔を下げる。


「考え事……そうね。この村にいると、なんだか不思議な気持ちになって……自分でもよくわからないんだけど」


一度そこで言葉を途切れさせると、ダガーは言おうか言うまいか悩んだ様子でこちらに視線を上げた。


「懐かしい気持ちになるの」

「懐かしい? どういうこと?」

「わからないの……初めて来る場所だと思うんだけど」


はっきりしない様子でダガーは口を閉じた。


一回も来たことがない場所に懐かしいって感情は湧かないよね?

過去に行った場所に雰囲気が似てるとか?

いや、こんな殺風景な村の慣れの果てのような場所がそうそう霧の大陸にあるとは考えにくい。

だったら、どういうことだろう……?



ダガーの反応を疑問に思っていると、やがて寂れた噴水がある広場に出た。

奥の方に先ほどのモーグリ達が控えており、彼らに何事か指示を出し始めるエーコ。


「いい? 頼んだわよ!」


クポクポ頷いていたモーグリ達は奥の道へと消えていった。

そして再びくるりとエーコが振り返る。


「ジタン! エーコね、ジタンに色々聞きたいことがあるんだ!」

「ま、オレもエーコには聞きたいことあるぜ」

「ほんと!?」


ゆるりと頷いたジタンに対し、飛び跳ねるように喜ぶエーコ。


「じゃあ、エーコ今からお料理するから、絶対に食べていってね!!」


食事しながらエーコの話を聞いたりできるし、ご馳走になるのもいいかも。


エーコとジタンのやり取りを見ていると、エーコとぱちりと目があった。

なんかエーコとはよく目があうなあ。

ぼんやりとそんなことを考えていると、急にこちらに指をさされる。

ん? 私?


「レイナ、あなたに料理対決をもうしこむわ!」

「……ええ!? 料理対決!?」


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