第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
それからまた同じような乾いた土の道をしばらく歩き、時折現れるモンスターと戦っていると、やがて遠くに村のような集落のようなものが見えてきた。
きっとあそこがエーコの住んでいる村なのだろう。
しかし徐々に近づいていくと、そこが廃墟の集合体であることに気づく。
地面と同じ色をしたガレキがそこら中に転がって山となっている。
ここが村?
人の気配がまるでしない……。
私たちを先導していたエーコの後ろ姿が、瓦礫の山の直前でぴたりと止まった。
そしてくるりと振り返ると顔をぱっと明るくさせる。
「ジタン! ここがエーコの住んでる、マダイン・サリなの!」
「ここが……?」
周りを見渡して困惑するジタン。
それもそのはずで、ここに人が住んでいるとは到底思えない。
私たちが何と言おうか悩んでいると、瓦礫の陰から見覚えのある赤いぼんぼりがいくつも頭を覗かせた。
「クポッ!」
「モチャ! モコ! チモモ! モーネル! モリスン!」
エーコが一人ずつ名前を呼ぶと、嬉しそうに駆け寄るモーグリたち。
その様子を見て、かなり親密な関係であることが見て取れた。
エーコがきょろきょろと首を動かす。
「モグはいないの?」
モグ……っていうのは、エーコと出会ったときに周りを飛んでたモーグリだよね。
確か、あのモーグリはぼんぼりの色が山吹色だったはず。
ぱっと見、あの時のモーグリはいなさそう……。
「まさか……ホントに食べられちゃったの!? モグ~ッ!!」
「ク、クポ、クポポ……」
エーコの大声に反応したように、遠くの岩山の陰から山吹色のぼんぼりが顔を出した。
それから、申し訳なさそうに小さなモーグリが飛んできた。
よかった、クイナに食べられたわけじゃなさそう。
さすがのクイナも、モーグリは食べなかったみたいね。
エーコの前にトテっと降りると、モグはしゅんと頭を下げる。
「ううん、怒ってないわ」
腰に手をあてていたエーコは、息をついてゆるく首を振った。
「いい? もうエーコを置いてくなんてこと、しちゃダメよ?」
モグが喜んだように「クポっ!」と鳴いた。
どうやら仲直りができたみたいだ。
よかった。
「ジタン、こっち! ついて来て!」
すぐに顔色を変えると、エーコは瓦礫の山の中へ入っていった。