第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
エーコはまだ小さい。
そんな彼女がモーグリと二人だけでドワーフの里に来たということは、彼女の家までの道はモンスターが湧きにくいのかな、と思ったけどそんなことはなかった。
むしろドワーフの里までの道のりよりも敵の厄介さは上がっている気さえする。
じゃあ、なんでエーコはドワーフの里まで無傷でこれたのか。
その理由は明白だった。
「エーコ、やるじゃないか」
「へへ、まあね」
今しがた倒れ伏した、長い蔦を振り回して攻撃してきた巨大なモンスターを横目に、ジタンが意外そうに声をあげる。
エーコはダガーと同じ白魔法の使い手だった。
ジタンやビビなど、私たちのチームにはメインアタッカ―がいるため今回の戦闘ではエーコはサポートに徹していたけど。
時折来るモンスターの攻撃も焦ることなく避けていたし、私なんかよりもはるかに戦闘に慣れていると思う。
「そんなことより、エーコね、ジタンに興味あるんだ! ジタンってどこの人!? 歳はいくつ!? 何してる人なの!?」
「おいおい、そんないっぺんに……」
「ねえ、ジタンって何が好き!?」
どうやらエーコの矢は完全にジタンに向いているらしい。
無垢な興味からなされる矢継ぎ早な質問に、ジタンは少々及び腰な様子。
彼の普段見れない姿を珍しく思いながら、自分の体にケアルをかけていると、ぱちりとジタンと目があった。
「そういえばレイナ、さっき受けてた攻撃大丈夫だったか?」
「え? うん、今ケアルで治したから大丈夫だよ」
「本当か~?」
訝し気な表情で近づいてきたジタンは、私の腕をとって近くで確認している。
たぶんドワーフの里で私が倒れたから、多少過剰に心配してくれてるんだろうけど。
今の私には、この距離感にドギマギしてしまう。
手袋越しの体温とか!
気になるんで!
「ね、大丈夫でしょ?」
もう離してほしいという気持ちを込めてジタンを見上げると、「大丈夫そうだな」という声とともにようやく手が離れていった。
ふう、と内心ため息をついていると、すぐ近くでじーっと音がしそうな眼がこちらに向いていた。
「びっくりした!! エーコ……な、なに?」
「ふたりって、ど~ゆう関係~?」