第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
私とジタンの関係?
友達……ではない気がするし。
改めて聞かれるとなんだろう。
「な~んか、怪しいかんじ。もしかして、ふたりって愛しあってるの?」
「あ、いし!?」
唐突にエーコから出た言葉に思わず変な声をあげてしまった。
何をどう見たらそんな風に見えるの……!?
ジタンが私に優しくしたから?
いやいや、彼は女の子には全般的に優しいタイプの男よ。
「ああ、ちょうどさっき神の前で愛を誓った仲だぜ」
「ジ、ジタン!?」
「もしかして、ふたりってケッコンしてるの?」
「あれは違うってば! もう、ジタン!」
私がジタンに詰め寄ると、彼は「悪い悪い」とあまり悪びれてない様子で謝ってきた。
「そうだな……仲間、だな。レイナだけじゃない。ダガーやビビもそうさ」
「仲間? ……エーコとモーグリとの関係みたいなもの?」
「ま、そんなとこかな」
「そっか」
エーコは何か納得したのか、そう呟くと口をつぐんだ。
――――仲間。
私も、ジタンにそう思ってもらえていることが嬉しかった。
出会うモンスターと対峙しながら緑あふれる乾いた土の道を歩き、簡易的にかけられた梯子などを使いながら崖を上っていく。
再び現れた木の根の橋を何とか渡っていると、ふと顔をあげた時にその視界の広さに驚いた。
「うわぁ……すごい……」
いつの間にかずいぶん高いところまで来ていたようで、私たちが歩いて来た道など、かなり遠くの景色まで一望できる。
辺り一帯に蔓延る太い木の根たちは乱雑に生息していたのではなく、一か所から伸びてきたものだった。
集まる先は、霧に覆われた大樹。
物語の中だったら世界樹とでも呼ばれそうな神聖な佇まいに、私はなぜか既視感を感じていた。
上部はどこか丸みを帯びており、その一角が一つ眼のようにぽっかりと開いている。
その特徴的な見た目はどこかで見たことがあるような……。
昔遊んだゲーム?
ううん、もっと最近……どこかで。
「あれが……聖域?」
隣から聞こえてきたビビの呟きに、カチカチっとピースがはまったように既視感の正体を思い出した。
そうか、クジャの家で見た手書きのメモに書かれてた樹とそっくりなんだ。
あの場所には何かがあると、確信めいた何かが囁いていた。