第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
この反応……も、もしかして。
女の子は恥ずかしそうに伏せている視線を、ちらちらとジタンに上げたり下げたりしている。
その反応はまさに、恋する乙女……!
この一瞬でこの子のハートをつかんでしまったなんて。
やっぱり……ジタンってすごい。
半ば感心している私をよそに、落ちてきた女の子を心配したのかダガーが近づいてきた。
そして女の子の視界に入るように顔をのぞきこむと、女の子ははっと私達がいることを思い出したようだ。
「大丈夫?」
「……大丈夫」
「ケガはない?」
ダガーが重ねて女の子に無事を確認すると、女の子は少しむっとした顔をした。
「大丈夫って言ったら大丈夫なの! そこの青い服着た子みたいな子どもじゃないんだから!」
ぴっと女の子に指をさされた先でビビがおどおどと帽子を揺らす。
「で、でもキミ……ボクとあんま変わんないような……」
「し、失礼しちゃうわっ! それにキミだなんてっ! ちゃんとエーコってリッパな名前があるんだから!」
それだけ言い切ると、女の子……もといエーコはふんっと鼻を鳴らした。
すごい、小さいのに自分の意見が強い……。
幼い見た目に寄らずしっかりした子だ。
ビビがすっかり気おされて後ろを向いちゃってる。
「エーコちゃんっていうんだね。私はレイナ、よろしくね!」
「ちゃん付けなんて子ども扱いしないでちょうだい! エーコでいいわ!」
「あ、うん、よろしくエーコ」
ちゃん付けはダメだったらしい。
「わたしはダガー……、それとこっちの子はビビよ」
「ふうん……で、あなたは?」
ひとつ頷いたエーコはちらりとジタンへ目くばせをした。
「オレか? オレはジタンだ」
「そう、ジタンね……」
エーコは独りごちてそう呟くと、うんうんとかみしめるように何度も頷いている。