第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
しばらくすると双子のドワーフは「次こそは捕まえてみせるド」と息巻いて村の方へ戻っていった。
けっきょく私達ちゃんと挨拶もせずに関所通れちゃったけど、良かったのかな……?
そんなことをぼんやり考えていると、ダガーとビビとクイナまで村の方から姿を現す。
「あれ? 皆……」
「レイナ! 村がバタバタしてたから、わたし達も通れちゃったの」
当初の予定では、向こう側に渡れた私とジタンで色々工作して皆が関所を通れる隙を作ろうと考えていたのだけど、その必要もなくなったらしい。
もはや私とジタンが神聖の儀をする必要もなかったかもしれない。
まぁ結果論だけどね。
「食べ物どろぼーが出たみたいだね」
「ワタシのいるとこで、食べ物盗むとはいい度胸アルよ」
「まあ、オレ達にとっちゃあラッキーだったな。どろぼーさんに感謝して、先に進むとしようぜ」
「そうね」
向こう側に進むべく木の根を歩き始める一同のなか。
たまたまこちらを向いたジタンと目があって。
私はふいっと逸らしてしまう。
「…………」
神聖の儀をしてから、なんとなく恥ずかしくてジタンと目を合わせられない。
……それも仕方ないことでしょう。
だって、私キスとかはじめてだったんだもの!
あれはちゃんとしたキスではなかったけど!
こんなに気にしてるのは私だけなんだろうなあ。
あんなにかっこいいのだから、ジタンはキスのひとつやふたつくらい経験してそうだし。
そう考えると、自分で考えたことなのに少し落ち込んだ。
…………落ち込んだのは、なぜ?
その理由に気づくのはもう少し後の話。
今はこの木の根を落ちずに渡ることに集中しよう、と私は気持ちを切り替え顔をあげた。