第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
「希望となり糧となり、力によって難をしりぞく~」
神主様の読み上げる声とともに粛々と進んでいく式。
神主様やお囃子を鳴らしている人たち。
皆、こういう機会でしか着ないんだろうなと思うような、装飾の多いちゃんとした式典の服を着ている。
なんか、神聖の儀って……本当に思ったよりもちゃんとした式だ!
想像以上に厳かな空気につられて私まで少し緊張してきた。
そりゃあそうだよね。
結婚式なんて、一生に一度あるかないかだもんね。
「智によりて道を開く」
高校生だった私からすると、結婚式なんてもっとずっとずっと大人になってからするもんだと思ってた。
お母さんが知ったら、すごく驚きながらも、おめでとうって言ってくれるかな。
お父さんは……意外と泣いちゃうかも。
真面目そうに見えて涙もろいから。
って、違う違う!
なに真面目に考えてるの私!
これは形だけの式なんだから!
「この者ドもに、天降る祝福あれ!!」
神主様のひときわ凛とした声に呼応するように、上空からぱああと光が差し込み私とジタンを包み込んだ。
……これで式も終わりかな。
ひとりで心のなかを忙しくしていた私は、内心ふうと息をついた。
「それでは両者向き合い、共に歩んでいくことへの誓いを言うド」
しかし神主様がそんな言葉とともに目を落としていた教本から視線を上げたのでどきりとする。
ま、まだ終わりじゃないんですね!
隣のジタンへと体の向きを変えると、少し見上げた先で同じようにこちらを向いたジタンと視線がからんで……なんとなく恥ずかしくて逸らした。
あ……今の不自然に見えたかな。
そう思ってもう一度視線を戻してみると、ジタンもその水色の瞳を所在なさげにうろつかせていて、彼も少なからず緊張しているんだなと気づいた。