第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
私の額に置いていた濡れた布の水を変えてくれると言って、ダガーが席を外すと手持ち無沙汰になって。
私はそういえばと話を切り出した。
「向こう側には行けそう?」
「それがな~、通れそうにないんだ」
腕組みをして唸るジタン。
それは困った。
だって私達の目的地はコンデヤ・パタを挟んだ向こう側。
唯一の懸け橋であるこの場所からでしか、向こうに渡ることができないのだ。
「なんとか頼みこんで通らせてもらえないかな」
もしくは、いつかの脱出劇のように多少の無理を通してしまうか。
私の少々物騒な考えは、次のジタンの言葉であっさりと引っ込んでいった。
「ここの決まりみたいで、ナントカっていう儀をしたら特別に通れるらしいんだけどさ」
「あ、通る方法あるんだ」
なんだ。
だったら、その儀式さえしちゃえば。
「でもそのナンタラの儀ってのが、なんなのか……」
「あんたら神聖の儀を受けるドか?」
前掛けをつけた快活そうな女性が、私達の話を聞いていたのか突然話に入ってきた。
緑の肌に小ぶりな背丈。
この里に住むドワーフたちは皆そんな容姿をしているので、彼らの特徴なのかもしれない。
この宿の女将さんかな?
「神聖の儀っていうのは……?」
「男女が神に祝福され夫婦になる、聖なる儀式だド」
「夫婦!?」
「あんたらそういう仲だったドか」
女将さんが私とジタンとを交互に見ている。
神聖の儀って、結婚式のことだったの!