第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
近くで話し声が聞こえる気がする。
がやがやと賑やかな喧騒の中から聞こえてくる声は、なんだか聞きなじみのないような言葉遣い。
……だド?
どこかの方言?
ぼんやりとした意識が浮上して、私はぱちりと目を開けた。
窓から差す光は白く、むき出しの石壁につたう蔦のようなものを立体的に映し出していた。
無骨ではあるけど手入れが行き届いていないわけではなく、質素でありながら趣のある感じ。
ここは……。
「レイナ、起きたのね! 体調はどう? しんどくない?」
「ダガー……私……」
「コンデヤ・パタに着いた途端、倒れちゃったから心配したのよ」
私はベッドに横になっていたらしく、ベッド脇に置かれていた椅子から腰を浮かせたダガーにそう告げられた。
そっか私……あのまま倒れちゃったんだ。
私の額には冷たい布が置かれている。
「ダガーが看病してくれてたの? ごめんね、迷惑かけて」
私が謝ると、なぜかダガーの方が申し訳なさそうに眉を寄せた。
「ううん、わたしの方こそ……レイナのことわたしが誘ったのに、無理させちゃったかなって……」
「え、そんなことない! 私が行くことを決めたのは、私が皆と一緒に行きたかったからで……私の方こそ不甲斐なくて……さっそく迷惑かけちゃって申し訳ないなって……」
「そんな! こうやって旅をするのも初めてだったし、むしろわたしが気づいてあげられなくてごめんなさい」
「ダガーが誤る必要こそないって! 私の方が……」
あれ? なんか変な言い合いになってる?
私とダガーは少し顔を見合わせて、小さく噴き出した。
ダガーも責任感じてくれてたんだ。
そんな必要ないのに。
でも皆に迷惑かけちゃって落ち込んでたから、今ので少し心が軽くなった気がする。
「あ、そうだ! これクイナとビビから。この辺でとれるフルーツの果汁とポーションを混ぜたものなんだって。レイナのためにって、さっき持って来てくれたの」
ダガーから渡された飲み物を口に含んでみると甘酸っぱくて飲みやすくて、ぐいぐいと飲み進めてしまう。
あのポーションがこんなにおいしくなるんだ!
まずくはないけど、美味しくもないポーション。
それをこんなに美味しい飲み物に変えてしまうなんて、クイナは見た目を裏切らず料理が上手らしい。