第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
ジタンside.
何か重い物が落ちたような音がして振り返ってみると、レイナが荒れた地面に倒れていた。
さらさらとした銀糸のような髪が、汗で頬に張り付いている。
顔は赤く上気していて、呼吸は乱れている。
「レイナ!!」
オレと同じく倒れる音で気づいたらしいダガーが息をのんで急いで駆け寄りケアルをかけている。
まずいな。
こういう内的症状に魔法はあまり効果がない。
いつからだ?
戦闘中も、さりげなくオレ達のサポートをしてくれていた彼女。
そこまで魔法を使っているようには見えなかったけど、気づいてなかっただけで無理をさせてたか?
「レイナ……大丈夫か?」
ダガーがケアルをかけ終わったタイミングで肩をゆさぶってみるも、くぐもった声をあげるだけで返事はない。
魔法のおかげか乱れた呼吸は多少ましになったものの、赤らんだ顔もそのまま。
「レイナさん起きないよ。どうしよう……」
「たぶん軽い脱水症だな。宿に運んで少し休ませてあげよう」
レイナが倒れて心配そうにそわそわしているダガーとビビに向かってそう言うと、オレは華奢なレイナの体を横抱きにする。
持ち上げた体が熱い。
命に別状はないと思うけど……ちょっと心配だな。
オレの腕の中のレイナは、ぐったりと体を預けたまま、苦しそうに眉間に皺をよせている。
髪の毛と同じ色の透き通った長いまつ毛は、静かに閉じられたままだ。
こうやって近くで見ると、ほんとにきれいな顔してんだな。
幼さは残っているものの、こぶりの鼻や口元がかわいらしい。
それに汗で張り付いた前髪が、幼い中に妖艶さをかもしだしているというか……。
って苦しんでる子の顔見て何考えてんだ、オレ。
宿のベッドに横たえると、ダガーが看病を任せてほしいと名乗りをあげた。
同性だし何より白魔法の使い手だし、元よりそのつもりでオレは快く了承する。
その間にオレ達他三人は向こう側への行き方の情報収集をしようと宿屋を後にした。