第2章 家出騒動
ジタンside.
ぎこちない足取りでマーカスへと歩み寄ったガーネット姫、いやコーネリアを、物語の主人公であるマーカスは抱きしめる。
「マーカス、あいたかった……もう、離れたく、ありません。このまま、わたくしをどこかへ連れて行って、くださいまし!」
すごい。
動きや発音はたどたどしいものの、セリフ内容は完璧だ。
この芝居によほど関心がなければ、こんな芸当できないだろう。
「どうだい? レア王さんよ。二人の仲を認めてやってくれよ!」
オレも自分の役目を果たしつつ、次にくるであろうレア王のセリフに耳を傾ける。
「だめだ! もう離れたくないだと? ならん! それはならん! コーネリアは、この、シュナイダー王子と結婚するのだ!」
相変わらず迫力のある演技に感心すれば、ボスは今まで舞台の端に放っぽり置かれてた中年兵士の肩に手を乗せた。
「のう、シュナイダー王子!」
兵士はあんぐりと口を大きく開ける。
「じ、自分と姫とがでありますか!?」
そんな素であろうセリフも、コーネリアも姫であることからあんまり違和感はない。
「ええい、刃向かうやつは皆殺しだーっ!!」
オレとマーカスで手下達を相手取りおい払えば、物語はついに最終局面を迎える。