第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
大きな渓谷を隔てた向こう側の大地へと繋ぐ橋のように伸びる太い根っこ。
その上に石で積まれたような不思議な建造物があった。
地球にあったら何かの遺跡として世界遺産に登録されてそうな、そんな雰囲気。
黒魔導士の村の皆がいつも必要な物を調達してくる場所だって聞いてたから、もっと街みたいなものを想像してたんだけど。
思ったより文化的でこじんまりしている。
私はへろへろとよたつきながら、目と鼻の先にある建物を見上げた。
「ここが……コンデヤ・パタ……」
やっと着いた……。
良かった……もう少し歩くことになったら、音をあげていたかもしれない。
私のわがままで皆に付いてきて、迷惑だけはかけたくなかったから、自分で設けた最低限のラインだけは守れた。
これで……休める……。
「この谷の向こうに”聖地”があるんだな……」
建物の奥。
対岸の崖のさらに奥の方を眺めながらジタンが呟く。
谷は深く、大きく。
向こう岸までは軽く数十メートルはありそうなので、ジャンプして渡ったりはまず無理だろう。
一回崖を降りて、谷底を歩いてまた向こう側の崖を登るのも……。
私は試しに谷の底を覗き込んでみた。
あまりの深さに眩暈がする。
疲れてる時に見るんじゃなかった……。
とにかく、このコンデヤ・パタを通らないことには向こう側には行けなさそうだ。
幅2メートルほどの太い根っこを渡っていくと、建物の入り口がある。
もちろん渡っていく根っこには親切に柵などはついていない。
入口までいくのも正直怖いなあ……。
下は極力見ないようにしよう。