第14章 仲間になるために〜コンデヤ・パタ〜
森を歩くこと数時間。
ようやくうっそうとした木々を抜け、開けた大地に出た。
「わあ、空が広い。遠くに海もある!」
「もしかしてレイナは海を見るのは初めてかい?」
「初めてじゃないけど、私海好きなんだぁ」
地球にいた時に海の近くの高校に通ってたから、海は私にとって身近なものだった。
登校する時にはいつも潮のかおりがしてたっけなあ。
武器をホルスターにしまいながら近づいて来たジタンが、ごっほんとわざとらしく咳ばらいをした。
「じゃあ今度時間がある時に、オレとクルージングでも……」
「え、クルージング? 行きたい!」
この世界にもクルージングとかあるんだ!
トレノにいるような貴族たちが楽しんだりするのかな?
乗れるなら私ものってみたいなあ。
なんて考えていると、私の勢いに面食らったようにジタンがドギマギしていて、そこで気が付いた。
あ、もしかして、今のってジタンの良く言う冗談?
「あ、ごめん! 冗談か! 私嬉しくて、ついはしゃいじゃって……」
言葉尻をしぼませる私の両肩をがっとジタンは掴むと、ぶんぶんとちぎれんばかりに首を横に振る。
「いいや! もちろん冗談なんかじゃなく本気だぜ! レイナこそ、忘れずに覚えておいてくれよ。約束だからな!」
「う、うん。ありがとう」
私が行きたいっていったから、話を合わせてくれたのかな。
やっぱりジタンは優しいな。
そんなことを考えている私の横で、小さくガッツポーズをしてるジタンには気づかないのだった。
久しぶりに海に行けるのかなあと期待していたのだけど、どうやらコンデヤ・パタは山の方にあるらしく、海とは真逆に進む私達。
適度に休憩はとってはいるものの、朝から歩きっぱなしでそろそろ疲れがたまってきた。
皆の方が戦闘では動き回ってるはずなのに、なぜだろう。
私の方が疲れている気がする。
分かってはいたけど、私まだまだだな。
せめて迷惑だけはかけないように、がんばろう。
じりじりとした陽射しを受け、額から流れる汗をぬぐった。
鳥のようなモンスターと戦ったり、サボテンのような見た目のモンスターと対峙したり。
そんなことを繰り返しているうちに、ぼんやりと巨大な建造物のようなシルエットが遠くに浮かんできた。