第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~
「そういえばクジャ……この大陸には霧を送り出す秘密があるって……」
「そう言ったのを聞いたのか?」
「うん」
クジャは結構話したがり屋で、私の知らない話もぺらぺらと話していた。
情報収集だ! と思って聞き流しているふりをしながら、よく聞いていたから間違いない。
聞いた当初は霧の大陸にいると思ってたから、霧の大陸に霧を発生源があるんだ、ふーん。
くらいに思ってたけど、外側の大陸にいるとわかると、また話が変わってくる。
霧の大陸と外側の大陸は海を隔てた場所にある。
異なる大陸に霧の発生源があるって、いったいどういうことなんだろう。
「霧を送り出す秘密の場所と”聖地”……何か関係がありそうだな」
「きっとそこにいけば、手掛かりが……そうすれば、お母さまも……」
「そうだな……」
当面の目標はコンデヤ・パタの先にある”聖地”らしい。
そこにクジャも現れるのかな。
私の目的はクジャとの和解。
彼と会うことを考えると、うまくいくかどうか緊張してしまう。
ブラネ女王のことを考えていたのか顔を影らせていたダガーだったが、ふと思いついたようにきょろきょろと顔をあげた。
「あれ? そういえば、ビビは?」
そういえば私がここに来る間も見かけてない。
ジタンも分からないというように肩をくいっとあげる。
「もしビビがここに残るっていったら……」
そっか、ここは黒魔導士の村。
ずっと黒魔導士であることに悩んでいたビビにとって、ここは仲間を見つけられた場所なんだ。
ビビにとっての『いつか帰るところ』はここになるかもしれない。
せっかくビビとも再会できたのに、お別れになったら寂しい……けど仕方なのかな……。