第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~
「すぐに名乗らなくてごめんなさい。急にダガー達が現れてびっくりして……それに……」
こんな見た目だし。
最後まで言い終わらないうちに、ダガーに抱きしめられた。
「わわ!」
「レイナ……本当にレイナなのね? もう会えないかと思った……また会えて嬉しい」
ダガーの言葉が温かすぎて、私の見た目なんて気にしていないようで。
胸に込み上げるものから、思わず涙が出そうになった。
「ダガー……うん、私も会えて嬉しいよ」
「ふふ、こうやって夢の中でなく会うのは初めてね?」
「あ、確かに。えっと、はじめまして?」
私達は顔を見合わせてくすくす笑い合う。
この身体がクジャに作られたものだと白状すると、私の心配など吹き飛ばすように「レイナはレイナだわ」と断言してダガーはその事実を受け入れてくれた。
むしろ自分とそっくりな見た目な体を作ったクジャに対して、眉間に皺を寄せていた。
そこの感情に関しては、私も全く同意見である。
逆にどうしてダガー達がここに現れたのか。
理由を聞くと、謎がとけた。
どうやらクジャの目撃情報を元に外側の大陸までやってきたらしい。
アレクサンドリア城にて、ベアトリクスとフライヤさん、スタイナー、それにお兄ちゃんを殿に、ダガーは助けに来たジタン達とともにリンドブルムまで逃げおおせた。
そして全ての元凶はクジャであることを再確認し、今に至る、と。
アレクサンドリア城から逃げる時に対峙した敵はかなり手ごわかったらしい。
お兄ちゃんは無事だろうか。
遠く離れた土地にいる私には無事を祈ることしかできないけど、やっぱりこの世界で唯一の家族であるお兄ちゃんの安否は気にかかる。
「レイナはクジャの元から逃げてきたのよね? 場所は……」
「ごめん、ここに来る途中で意識を失ったからわからないの。でもこの大陸にいることは間違いないよ」