第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~
私の体のあちこちをすんすん嗅ぐのをやめたかと思えば、クイナと呼ばれたコック姿の人は爆弾発言をした。
ぎくりと体を揺らす。
たしかにこの体はクジャに作られたもの。
クジャの体の一部を練り込んで作ったとか説明してるのを聞いたような聞いていないような。
だからクジャと似ているDNAを持ち合わせているだろうことは認めましょう。
けど、けども!
私そんな独特なにおい放ってましたか!?
「そういや~似たような銀髪だな」
ジタンまで首を傾げながら私を見始める。
だくだくと汗が流れる。
これ、クジャと関係者だって思われたらまずくない……?
いや、落ちつけ私。
私はクジャの元から逃げてきたんだから、冷静に「関係ありませんよ」って否定すればいいのか。
「えっと、私……」
「レイナ~」
私が否定の言葉を紡ごうとしたとき、タイミング良く……いや悪く? 場違いにも思えるような、ユウののんびりとした声がこの場に割って入ってきた。
「広場で何か大変なことが起こってるって聞いて来たんだけど、大丈夫?」
声が聞こえた村の方へ振り向くと、ぽてぽてと歩くユウの姿。
そしてずっとジタン達に対峙していて今まで気づかずにいたことに気づいた。
村のみんなが私達の様子をうかがってる?
建物や木の陰から特徴的なとんがり帽子があちらこちらでひょっこりしていた。
中には金ぴかの瞳をのぞかせている子もいるけど……その様子は警戒している小動物のよう。
そして、この村で今一番注目を集めているこの場に、おそらく無自覚にやってきたユウの様子はというと。
ジタン達の存在が予想外だったのか、カチーンと石のように固まってしまっていた。