第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~
「枯れた森っていうのは、私も詳しくは知らないけど……たぶんこの村が見つからないように魔法がかけられてるんだと思う」
「たしかに、ここに来るとき、枯れた森が一瞬変な感じに歪んだわ」
仮説ではあったけど私なりに思ったことを話してみると、ダガーは溜飲が下がったように頷いた。
どうやら私の仮説は当たっていた可能性が高かったようだ。
「でもどうして……この村は人目につかないような場所にあるのかしら……」
「この村のみんなは人間を怖がってるから」
「人間を怖がってる?」
「ここに住んでるのは、みんな人間から逃げてきた黒魔導士たちなの」
私がそう説明すると、ダガーはかなり驚いたらしく、元から大きな目をさらに大きくした。
あれ? 皆はここが黒魔導士の村だってわかってて来たわけではない?
黒魔導士はダガーの祖国であるアレクサンドリアで兵器として使われていて、ダガーはそのことに頭を悩ませていた。
それにビビのこともあるし……ダガー達が黒魔導士の村があるとわかって来たなら納得できるんだけど、皆わかってて来たんじゃないの?
ジタンまで初めて知ったみたいな顔してるし。
黒魔導士の村に来たのは偶然?
だったら何のために海を越えてこんなところまで?
私が再び頭を悶々とさせていると、今まで村の中に自生している草のにおいを嗅いでいた、コックっぽい恰好をした人が突然ずいっと近寄ってきた。
そしてあろうことか私の体をすんすんと嗅ぎ始める。
な、な、なんですか急に!?
私変なにおいとかしてる!?
「おいおいクイナ、何してるんだ……その子が困ってるだろ」
「ジタン、この子クジャと同じにおいがするアル」