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王女様に祝福を【FFIX】

第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~



この村に来て変わったのはユウとサウスだけじゃない。

私だって少しだけど成長している、と思う。


何と、私も魔法を使うことができるようになったのだ!

といっても、白魔法自体はクジャの元から逃げている最中も使っていたけどね。


ダガーの体にいた時に白魔法は使っていたので、この体でもいけるのでは? と思って試してみたら、なんとびっくり成功してしまった。

どうやらクジャの用意してくれたこの体は魔力を有していたらしい。


白魔法が使えるなら黒魔法も! と試してみたところ、これまた成功。

慣れていない黒魔法の方はみんなと比べるとまだまだではあるけど、でもこれで私も戦うことができる!


今まで周りの人に頼りっぱなしで情けない思いをしていので、遠距離攻撃の術を得られたのは個人的にかなり嬉しい。

やっぱりひとりでも生きていく力があるっていうのは、心の持ちようが全然違う。



サウスと32号さんに別れを告げて、木陰が揺れる小道を歩く。

ふと、一本の道に私の視線は吸いよせられる。

それは先の見えない森の奥へと続いている、この村と外界とを繋ぐ唯一の出入り口。


「この村は特殊な魔法で守られていて、正しい手順でないとたどり着けないようになってるんだって」


いつの日だったか、夕食の最中にサウスがそう教えてくれた。


この村にいる黒魔導士のみんなは、アレクサンドリアや輸送船から逃げ出してきたのだという。

人間たちに見つからないように海を渡って、自分達だけで暮らせる場所を探して。


「ここって霧の大陸じゃないの!?」

「うん、僕らがいるのは外側の大陸って言って、この大陸には人間はほとんど住んでいないんだって」

「そうだったんだ……じゃあ……」


ダガーたちとは海を隔てた場所にいるってことか。

私、いつの間にかずいぶん遠くに来ちゃってたんだなぁ……。




この村に来てから、外に出たことは一度もない。

色々暮らし始めるための準備でバタバタとしていたし、言うほど時間もたっていないし。

でも黒魔法も使えることがわかったから、一度戦闘の練習がてら外に出てみるのもいいかもしれない。

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