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王女様に祝福を【FFIX】

第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~



サウスは探求心が強かったらしく、日を増すごとに学者のように細く長い体つきになった。

今では逆に私がサウスに教えてもらう場面も少なくない。

寝食を忘れて本に没頭するときは心配になるけど、毎日楽しそうなサウスを見ていればまあいいかと思える。


毎日楽しそうといえば、ユウもそうだ。

サウスとは対照的に食べるのが大好きなユウは私の目にも明らかに横幅が大きくなった気がする。


オブラートに包んだ言い方はやめよう。

彼はこの村に来て太った。

それはむくむくと。

まあ本人は幸せそうにもぐもぐと食べているので、特には何もいっていないけど、彼の健康を考えてそのうち運動を進めるべきかもしれない。


調理道具一式がそろったことをいいことに、ユウは毎日ポテチ作りにいそしんでいる。

彼は彼で研究家なのだ。

そしてユウが作ったポテチに興味を持った村のみんなにもその美味しさは広まり、一時村でポテチは大流行した。

さすがポテチ。

どんな人をも虜にしてしまう魔性の食べ物。





「やっぱり村に白魔法を使える人がいるとこういう時に助かるね、ありがとう」


どうやら梯子から落ちた拍子に周りに置いていた本たちが雪崩を起こしてしまったらしい。

私が訪れると、32号さんは無数の本に埋まった状態で動けなくなっていた。

いったいこれだけの本をどこから集めたのだろうと思うほどの本の冊数に半ば呆れていると、サウスが倒れていた木製の梯子を持ち上げる。


これからこの散らばった本たちの片づけをするのだろう。

その大変さを想像して苦笑していると、そうだ、と32号さんが声をあげた。


「お礼にここにある本ならどれでも貸すよ。何か気になるのある?」

「あー……私文字読めないからなあ。お礼はいいよ、大したことしてないし」


32号さんの申し出を断ると彼は少しばかりしゅんとしたように肩を落とした。

この村のみんなは本当に優しい。

助け合いの精神が強く根付いていて、私のようなよそ者であってもこうやってお礼をしようとしてくれるのだ。

そんな彼の優しさに私も甘えることにした。


「その代わり、今度黒魔法を教えてくれない? 基礎的なのはできるようになったんだけど、その先がどうも難しくって」

「レイナは最近黒魔法を練習してるんだっけ。いいよ! 黒魔法のことなら任せてよ」
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