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王女様に祝福を【FFIX】

第13章 いつか帰るところ~黒魔導士の村~



黒魔導士の村は名前の通り、新参者である人間の私を除いて黒魔導士のみが暮らしている村。

紫のジャケット、白いズボン、革製の手袋。

一番のトレードマークはおそろいのとんがり帽子。


みんな同じ見た目でどうやって見分けているんだろう? と初めは疑問に思っていたんだけど、しばらく彼らと過ごしているうちに、ちゃんと個体差があるのだということが分かってきた。

例えば、運動が好きな子は体格が大きい。

逆に本を読んで新しい知識に触れるのが好きな子は小柄だったりする。


背が大きい子、小さい子。

好奇心の強い子、怖がりな子。

話し方や仕草一つ切りとって見ても、その人であることを形作る特徴をそれぞれが持っていた。



また彼らは名前を持つ文化を持っていないようで、お互いのことを番号で呼び合っているらしい。

私達を助けてくれたのが288号。

その288号とよく一緒にいるのが56号くん。

昔から数字に苦手意識を持っていた私は、正直それぞれの号数を覚えるのにそこそこ苦労した。

こちとら自慢じゃないけど、テスト範囲で歴史の年号は全捨てしてたようなタイプの人間だ。

無機質な数字を覚えるのは苦手なのだ。


少しでいいから違いを! と思って呼び捨てにしたり、くん付けで呼んでみたり。

そんな努力が実を結んだのか、初めは怖がられる一方だった私も村の皆に避けられなくなったような気がしている。


「レイナー!! 今手あいてる!?」


暖かな昼の陽射しの下、庭で洗濯物を取り込んでいた私の元に、パタパタと小走りでやってきたのはサウス。

この村は深く生い茂る木々に囲まれているけど、地域がらそうなのか良く晴れるため薄暗い印象はあまりない。

今日みたいに雲一つない晴れの日が多いので、洗濯物が気持ちよく乾く。


「どうしたの? サウスが走ってくるなんて珍しいね」

「本棚の整理をしてた32号が梯子から落ちちゃったんだ」

「それは大変! 急いでケアルしないと!」


抱えていた洗濯物を手近な場所に置いて、急いでサウスの後をついていく。


この村で生活するようになって、サウスはずいぶんと変わった。

サウスは勉強するのが好きだったらしく、この村で一番多くの本を所有している32号のところで様々なことを学んでいるらしい。

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