第12章 安息の地を求めて
「僕はそうは思わないけど」
「え?」
「あの二人の様子を見ればわかるよ。君は人間だけど悪い人間じゃないってこと」
見つめられる金色の瞳は、先ほど私を断罪してきたものと同じようで全く異なる。
まさかそんなことを言ってもらえると思わなかった。
同じ黒魔導士であっても、ユウとサウスの性格が全く異なる様に、考え方も千差万別なのかもしれない。
それこそ、人間と同じだ。
「あの二人はこの村に残るよね?」
あの二人とは、ユウとサウスのことだろう。
「聞いてみないと分からないけど、きっと、そうすると思います」
二人はこの村で同じ仲間たちと生きていく選択肢が最良だと、私も思っている。
「君は?」
「私は……」
私も、この村の一員になりたい。
ここから去ってしまった彼に、そう伝えるつもりで話しかけたのだけど、結局それはかなわなかった。
私はここにいてもいいのだろうか。
それが許されるのだろうか。
一人でこの村を出る。
それは不可能で、どうしたってこの村に受け入れてもらうしかないんだ。
「叶うなら、私も……この村に、残りたいです」
絞り出すように紡いだ私の言葉を、目の前の彼はどう受け取っただろう。
少し考えるような仕草をして、それから再び目の前の彼は口を開く。
「この村には残念ながら人間のことを良く思ってない者もいる。さっきの彼みたいにね。君にとってこの村は過ごしにくいかもしれないよ」
言外に、それでもいいのかい? と問われているようだった。
私はすぐに首肯する。
それでも私には一人で生きていく力がないから。
「そうか、なら君がこの村に滞在する権利は僕が保証しよう」
「いいんですか?」
「君を連れてきたのは僕だからね。ただし、君がこの村のみんなに認められるかは、君の頑張り次第だけどね」
この村にいさせてもらえるだけで十分すぎる温情だ。
認めてもらう努力は、この村にいる以上していくのは当たり前だし、私自身がみんなに認めてもらいたい。
クジャの隠れ家から逃げだして数日。
私たち三人は黒魔導士の村に迎え入れられることとなった。