第12章 安息の地を求めて
聞こえてきた言葉に、私は進みかけていた歩をとめる。
「君がニンゲンを連れてきたから村のみんなが恐がってる。みんな不安なんだよ」
「だからってあの子だけ置いてくることなんて……それに、たぶんあの子は大丈夫だよ。僕たちにひどいことはしないと思う」
「でも、あの髪の毛の色は……見た目もそっくりだし……」
私のことを言ってるんだって聞いててすぐにわかった。
この村には黒魔導士しかいないってさっき話してたから。
みんな人間から、クジャから逃げてきた黒魔導士なんだって。
だからここは黒魔導士の村なんだ、って。
気になっていた疑問は確信に。
やっぱりさっきの黒魔導士は私に怯えていたんだ。
私が人間だから。
人間だからってだけじゃない。
私の容姿はクジャを思わせるような銀髪に色素の薄い肌。
ここにいる黒魔導士たちが私とクジャとの繋がりを恐れるのも無理はない。
私はこの村にいるべきじゃないのかな……。
いや、もし私がクジャとつながりがあるのだとすれば、この村にやってきてしまった時点でアウトなはず。
今から一人でこの村を出ていったところで、彼らの不安は消えないだろう。
それにユウとサウスのことだってある。
二人はきっとこの村に残るだろう。
この村の人たちもきっとそれを望んでいるし、二人だって自分達と同じ境遇の彼らとともに生活していきたいと思うはずだ。
悔しいことに、この村を出て一人で生きていくには私は弱すぎる。
村の人たちの迷惑になるとしても、この村に受け入れてもらうしか私の生き残る道はないんだ。
止めていた足に力を入れる。
自分のことをよく思っていない人に対峙するのは勇気がいる。
「あの……お話中すみません」
彼らにとって、話題の中心に置いてた人物が出てくるのは予想外だったのだろう。
驚いたように肩を跳ねさせて、こちらに視線が集まった。
逃げ腰になるのは反射的なものなのか。
その足は今にもこの場から逃げ出しそうで、私は慌てて待ったをかける。
「待って! 少しでいいから私の話を聞いて……ほしいです」