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王女様に祝福を【FFIX】

第12章 安息の地を求めて



「黒魔道士の……村?」

「説明は食事をしながらにしよう。実はちょうど料理ができたところなんだ」


部屋の片隅で漂う湯気を見つける。

そういえば目が覚めたときに一瞬美味しそうな匂いがしたけど、食事を作ってくれてたんだ。


ユウとサウスと、あと二人の黒魔導士。

名前がわからない黒魔導士の内の一人がドアの方へとそぞろに後ずさる。


「じゃあ、僕は、そろそろ……」


もごもごと一言二言呟くと、そそくさとドアを開けて外へとでていく。

ドアの向こうでバタバタと走っていく足音が聞こえた。





楽しい談笑と共に用意してもらった料理を口に運んでいる間も、部屋から出ていった黒魔導士のことが気にかかっていた。

あれは何かに怯えているみたいだった。

外に出る直前まで、私の方にずっと視線が向けられていたのは……気のせいじゃなかった、と思う。


怯えられてた?

でも彼とは初対面だし、特に何かした記憶もないし。

何だったんだろう……。





料理もほとんど食べ終わって、私達と一緒に食事していた黒魔導士も席を離れた頃。

ふいにお手洗いに行きたくなって私は部屋から出ることにした。


ドアを開けたら部屋が続いているものだと思っていたんだけど、その想像とは裏腹に扉を開けるとすぐそこは暖かな光降り注ぐ室外だった。

周りを囲む針葉樹林。

ぽつりぽつりと建つ茅葺屋根が乗っかった小さな一軒家。

家は木製のステージのようなものを土台に建てられているらしく、足元に空洞があって歩くと音が響く。


「……かわいい」


絵本にでてきそうな可愛らしい風景。

自分たちで作ったのかなあ。

窓がにこちゃんマークのような形になっているなど、どこか完璧じゃない手作り感がむしろこの可愛らしい雰囲気とマッチしている。


見慣れない村の景色にわくわくとしながら歩みを進めていると、建物の陰にとんがり帽子の人影を見つけた。

ぼそぼそと何か喋っているみたいだけど、その様子はあまり穏やかじゃない。


別に盗み聞きするつもりじゃなかった。

だけど、少し近づいて聞こえてきた会話の片鱗に、私の足は自然と止まった。


「どうしてニンゲンなんか連れてきたの!?」


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