第12章 安息の地を求めて
ふわりといい香りがした。
おいしそうな香りに誘われて、目を開ける。
木製の天井。
ところどころから藁が飛び出し、隙間から幾本もの光が差し込んでいる。
天井の中央で木の板がくるくると回っていた。
くるくると回る木の板をぼうっと見つめていると、「あっ」とそばで声があがった。
声の主を見ると、私にとってはすでに見慣れたとんがり帽子の彼。
どうやら私はベッドに横になっていたらしく、彼はベッドの横に置かれた椅子に座って私の様子を見ていてくれたらしい。
「ユウ……?」
「あ、えっと……」
「あ、ごめん。サウスだった?」
「ニ……」
「に?」
「ニンゲンが起きた!」
「え? ……ちょっと!」
慌てた様子で出て行ってしまった彼の後ろ姿を呆然と見送る。
「そんな全力で逃げなくても……それに私のこと人間って?」
いまいちしっくりこない反応に首を傾げていると、再び扉が荒々しく開いた。