• テキストサイズ

王女様に祝福を【FFIX】

第2章 家出騒動



ジタンside.



誘拐作戦も大詰め。

ガーネット姫となぜか意気投合して、城の兵士たちから逃げているときだった。 

プルート隊員に変装していたブランクが技をもろに受けたせいで、懐に忍ばせていた大量のブリ虫たちが放たれてしまった。

そのせいで部屋の中はプチパニック状態。

さっきまで行く手を阻んでいた中年の兵士まで、この惨状に慌てふためいている。
 

「さっ、今のうちだ! ガーネットひ、め……」
 
 
今が好機だと彼女に呼びかけたオレだったが、ものすごい混乱っぷりの姫が視界に入った。

あれではオレの声なんて聞こえていないだろう。

今までの気品溢れる王女はどこへいったんだ、って言いたくなるくらいの取り乱しよう。

 
そんなことを思っていると、オレに向かって彼女が危機迫った表情で走ってきた。

避けてもよかったけど、このまま一緒に逃げればいいか、と俺はガーネット姫を抱きとめる。

役得だな、と思っていればさらに彼女がオレに抱き縋ってきて。

さすがに予想してなかったことに焦る。
 

「えーと……ガーネット姫さま?」


オレだって気づいてないのかな。

それより、そんなに密着されると、色々と困るんだけど。


ようやく顔を上げた彼女の濡れた瞳は驚きに見開かれた。

そして慌てて俺から体を離したと思うと、後ろを通り過ぎたブリ虫に驚き、またオレの胸にすっぽりと収まる。


慌ただしいな。

国の王女様であってもブリ虫は苦手らしい。

余裕がないからか、さっきから素……なのかな?

王女らしくない一面が丸出しである。


少し意外だった。

以前に誘拐作戦の下見で姫を見かけた時と印象がずいぶん違う。

それは今日、姫と出会ってからずっと感じていたことでもあった。

まあ、下見の時は遠くからちらっと見ただけだけど。


/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp