第12章 安息の地を求めて
さらさらと静かな流砂音が聞こえる。
頬にわずかに何かがあたる感覚。
砂……だろうか。
「ん……」
ゆっくり目を開けると、そばを黄金色の砂が流れている。
体を起こそうと地面に手をつこうとすると、乾いた砂に手が沈んだ。
「ここは……」
天井のところどころに開いた穴から、砂が流れ落ちてきている。
どうやら私はあの穴から砂と一緒に落ちてきたらしい。
地面や壁はごつごつとした青黒い岩がせりだし、脇の方をちょろちょろとした水が流れている。
意外にも空間自体が明るいのは、壁に張り付くようにして自生している蔦植物がわずかに発光しているから。
「私、助かったんだ…………あ、そうだ、ユウ!」
視線をさまよわせると、すぐ近くに砂に埋まった二人の姿を見つけた。
とりあえず近くにいた方をゆすると、うめき声をもらして体をぴくりと動かす。
「ユウ……ユウ、大丈夫?」
「うう……」
むくりと起き上ると、きょろきょろととんがり帽子が揺れる。
よかった、ユウも無事だったみたい。
ほっと一息ついていると、あっちこっちにさまよわせていた金色の瞳とばっちりと目があった。
「ユウ、よかったね。私たち助かったみたい」
「…………」
「ユウ?」
こちらをじっと見て、押しだまったまま何も言わない。
何か言おうとしているようにも見えるし、困っているようにも見える。
「おれは…………ユウじゃない」
「…………え?」