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王女様に祝福を【FFIX】

第11章 ターニング



風にのって、細かい砂粒の幕が飛んでくる。

高台になった崖から眼下を覗くと、砂漠のところどころで地下にすいこむように渦を巻いていた。


「レイナ、サウスが……!」


振り返ると、サウスがすぐ近くまで迫ってきていた。

その後ろから、激高したように駆け寄ってくるモンスターの姿まで見える。





じりじりと後ずさる。

すぐ後ろは崖。

外には出られたものの、行き止まりだった。



モンスターが刃を逆手に持つ。

何か技を出そうとしているのか、両手それぞれに持ったナイフに光が集まり出していた。

ユウがすぐそばで、私とサウスとモンスターとに視線を移動させている。


ユウの袖を、くいっと引っ張った。



「ユウ、崖の下に飛び込むよ」

「ええ!?」



絶体絶命の状況。

もう、一か八かの賭けにでるしかない……!



「いくよ……いち、にの、さんっ!!」




ユウの体を抱いて、私は崖のふちをけり出した。




モンスターが光を放つ。


サウスがこちらに手を伸ばしている。


ユウは、あろうことかそのサウスの手をつかんだ。



「えっ!? ちょっと、ユウ!?」



ぎゅっと目を閉じるユウの手は、しっかりとサウスの手を握りしめていた。








足元だった崖が、どんどん視界から離れていく。


屋敷だと思っていたクジャの家は、外からみると岩山のようだった。





どんどん、離れていく。



ものすごいはやさで離れていく。







クジャ。


あなたは結局、私のことを見てくれていなかった。


都合のいい人形が欲しかっただけだったんだね。





さよなら、クジャ……。


…………


…………








銀髪の少女と黒魔導士二体の姿は、渦巻く砂嵐にのみこまれていった。


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