第11章 ターニング
「ユウ! 次、どっちだと思う!?」
「え~~わかんないよ~! ひゃあああ」
「ぎゃあ!! じゃあ次右ね!!」
「わかった!!」
次々と足元に着弾する火の玉から逃げるように、魔法陣に飛び込む私達。
どうやらサウスの中のプログラムが私達をターゲティングしたらしい。
走りながら後ろを振り向くと、変わらずサウスが追従してきている。
「も~~サウスしつこい!!」
「レイナ……ぼくもうげんかい……」
「もうちょっと頑張って!! きっともう少しで出口が見つかるから!!」
「それさっきもきいたよぉ」
そんな会話をしている最中にも、すぐそばで炎が爆ぜる。
うわああああ、あっぶない……!!
もう少しで黒焦げになるところだったよ!
ちょっとこの家、広すぎない!?
出口はまだなの!?
そろそろ呼吸が限界だ、と思った頃合い。
目の前に眩い光を放つ穴が現れた。
「ユウ、あれ、きっと出口だよ!!」
「よかったあ、これででれる……」
これで無限にも思えた鬼ごっこから解放される!
そう思って口元が緩んだときだった。
走る私達を遮るように、一つの影が現れる。
「ぐがああああ!!」
「うわあああ、なに、こいつ!」
「モンスター!?」
突如として現れたのは、士官のような恰好をした青い肌のモンスター。
その両手はぎらついた刃を持ち、こちらに切りかかってくる。
「ユウ、危ない!!」
すんでのところで斬撃をかわした私達は、岩場のような床に転がる。
逃げなきゃ。
そう思って立ち上がろうとするも、今度こそ私達を仕留めようと、ナイフを振りかぶったモンスターの姿。
しかしモンスターは横から放たれた炎に押されて、反対の壁まで吹っ飛んでいった。
炎の出どころには、相変わらず私達を見据えるサウス。
「レイナ、にげよう」
ユウの言葉に立ち上がり、走り出す。
走る、走る。
光のさす方へ。
光の広がる方へ。
「はあ、はあ」
私のものか、ユウのものか。
はたまた追いかけるサウスのものか。
荒い呼吸が混ざり合い、目をつぶるほどの光が包み込む。
「…………砂漠だ」
暗がりから抜け出ると、そこは風が吹き荒れる、一面の砂漠だった。