第11章 ターニング
クジャが私を見下ろす。
その目元には温かさをたたえている。
クジャは、本当に私のことを必要としてくれているのかもしれない。
ふとそう思えた。
彼のそばにいて、彼の求める道の先を共に見てみるのはどうだろうか。
それが良くない道であれば、そのとき私が正してあげればいい。
そうすれば、誰も傷つかずにすむのではないだろうか。
一度失った私の命。
つないでくれたのはダガー。
拾って、新しい命に昇華してくれたのはクジャ。
そんな彼に少しは報いてみてもいいのではないだろうか。
「クジャ……」
「うん?」
「このネックレス、大切にする」
「ふふ、気に入ってくれたようでよかった」
こつりこつりとヒール音を鳴らし、階段を下りてくるクジャ。
後ろから差す光がクジャの白い輪郭を際立たせる。
ステンドグラスを通してドーム内を照らす光は、上品で眩い。
長い銀髪が揺れる。
こちらに近づいてくるクジャは、まるで人間じゃないみたいに美しい。
切れ長の瞳をさらに細めると、クジャは私の長い髪に手を伸ばした。
「美しい髪だね。何度でも触りたくなる」
「これは……クジャが用意してくれたものだから」
「でも、今は君のものだ」
こちらを見つめる、端正な瞳に吸い込まれる。