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王女様に祝福を【FFIX】

第11章 ターニング



ユウは本当に体調がよくなったらしく、ベッドから降りると目新しいものを見るように目を輝かせ始めた。

これはなに、あれはなにと、狭い部屋の中で私に質問を繰り返す。

生まれたばかりの子どものように、ユウの目には映るもの全てが新鮮に見えるらしい。

聞かれれば何だか頼られたみたいで嬉しくて、私も得意げにあれはどうだこれはどうだと一緒に説明してまわる。


きっと、ユウがこうなったことは、クジャには隠しておいた方がいいんだろうな。

何となくそう思う。


「ユウ、クジャのことは覚えてる?」


部屋の中のユウの興味が一息ついたところで尋ねてみる。

ユウは再び緩く首を振った。


「そっか。あのね、ユウ、聞いてほしいんだけどね」

「うん、なに?」

「えっと……」


ここがクジャのお屋敷であること。

そしてユウは私の監視役としてここで働いていること。

そういったことをざっくりと説明すると、ユウは曖昧に頷いた。

全部を理解する必要はないと思うけど、クジャの前では喋ってはいけないということだけは念をおしておいた。


「どうしてクジャのまえで、しゃべったらいけないの?」

「うーんと……クジャは鬼のように怖い人だから。もし怒らせたら、食べられちゃうかも」


わざとらしくがおっとユウの目の前に迫ると、ユウはふるふると恐ろし気に帽子を揺らした。

こういうことは、ちょっと言いすぎなくらいでちょうどいいと思う。


そういえばまだ名乗ってなかったね。


「私のことはレイナってよんでね」


口に出してから、自分の名前を言うのは久しぶりだなと思った。

ユウは何度か口の中で「レイナ、レイナ」と繰り返すと、こくりと頷いた。

うん、かわいい。



そういえばユウの一連の出来事の間、サウスの様子はどうなのかというと。

サウスはずっとドアの横の椅子で大人しく座ったままだった。

いつもと変わらず。


彼もポテチを食べたら喋れるようになったりして。

ユウも食べたがってるし、明日にでも今度はサウスに作ってもらおうかな。

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