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王女様に祝福を【FFIX】

第11章 ターニング



もう一度テーブルに雑多に並んだ本たちに目を落とす。

表紙にタイトルのようなものが書いてある本。

何もかかれていない、革製の趣のある本。

ぱっと見の印象だけど、サウスが持ってきてくれた本たちは種類がばらばらで、私の言った”いい感じ”を頑張って叶えてくれたのかなと感じる。

でもせっかく持ってきてくれた本も、私が文字を読めなきゃ意味がない。


「はあ、こんなことならダガーに文字の読み方も教えてもらえばよかったな。こんな時に私の勉強ぎらいがたたるなんてね」


まあ今さら言ってもしょうがないけど。


本のあちこちが経年劣化でほころんでいる本を手に取る。

ぱらりとページをめくってみると、びっしりと象形文字が並んでいた。


「サウス、これ何の本かわかる?」


たぶん何かの基準でサウスはこれらの本を選んできたんだろうけど、いったい何を見てこの本を持ってきたんだろう。

サウスは文字を読むことができるんだろうか。


「…………」


金ぴかの瞳が一度、二度、またたいた。

応答はなし。

私の言葉は理解してくれてると思うんだけどなあ。

彼らは喋れない呪いにでもクジャにかけられているんだろうか。


私はもう一度並んだ本たちに目線を落とす。

ふと一冊の本に目が留まった。


「あ、この本きれい」


深い青が一面に塗られた中心に、赤と青白い丸が浮かんでいる。

それはまるで、いつも夜空に浮かんでいる二つの月のよう。

というかまさに月がモチーフになっているんだろうな。


ぱらりとページをめくってみると、どうやらこの本は天体書のようだった。

地球の理科の教科書で見たような、天体の図がちらほらと描かれている。


ページをぱらぱらーっとめくっていくと、最後のページに紙が数枚挟まっていた。

本の紙と比べると幾分か新しいその紙には、直筆の字が書かれていた。


「クジャが書いたメモ?」


幾重にも重なった丸に何か注釈のような文字が書かれていたり。

でかでかと描かれた木の周りに、ずらずらと文字が記されていたり。


なんだか大事なものな気がするけど、どういう意味なんだろう。


「うーん」


しばらく見つめて、それから諦めた。

結局、文字が読めないことにはわからないからね。


サウスに頼んで、なんとなく本はすぐに戻してもらうことにした。

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