第2章 家出騒動
「し、しまった! 思いつきで知らないわざをだすものではないのだ!」
えっ、いや、そんなことより……!!
「なにこれ、ゴ〇ブリ!?!? いやあああっっ!!」
夏になると台所あたりでよく見る、カサカサとしたあいつらだ。
やつらが長い触覚を振り回して私に飛びかかってくる。
なんか地球のより大きいんだけど!?
「いやっ!! 来ないでっっ! ほんとムリだからああ!!!」
涙目で逃げるも、部屋のそこら中に飛び回っていて逃げ場がない。
だめ、これだけはほんとムリ!!
生理的にムリ。
見た目的にムリ。
動き的にムリ。
全体的にムリなのお!!!!!
『レイナ! いったん落ち着いて……』
ムリぃぃいい!!
ガーネットの言葉も露知らず。
ドンッとぶつかった物に、私は縋りつく。
せめて顔面だけは死守しようという魂胆だ。
今フードかぶってるし、ローブかぶってるし、長ズボンだし、グローブつけてるし、唯一露出している顔を守れば大丈夫なはず。
スタイナーまじで許すまじ。
「えーと……ガーネット姫さま?」
心の中で悶々と恨みつらみを唱えていると、ふいに焦ったような声が降ってきた。