第11章 ターニング
ダガーside.
ガルガントに乗ってアレクサンドリアを離れ、行きついた先、ピナックル・ロックスを背に、わたしは息をもらす。
先ほど休んだばかりなので、身体が疲れているわけではない。
城を離れてから、ずっと頭の中を色々な思考がぐるぐるとまわって落ち着かなかった。
こんなとき、レイナがいれば……。
胸のあたりをぎゅっと握りしめる。
別れが近いのは感じていた。
でも、だからといって心の準備はまだできていなかったのに。
レイナ……。
これからはわたし一人で頑張らなきゃいけないのね。
目をとじる。
しっかりしなきゃ。
わたしがこんなままでは、城に残ってくれた皆に顔向けできないわ。
特にタイチは戦闘に不慣れなのに。
無事……よね?
一度不安が首をもたげると、なかなか離れてくれない。
考え込む私に目ざとく気づいたのか、横を歩いていたビビがわたしの顔を見上げた。
「ダガーお姉ちゃん、だいじょうぶ?」
「ええ、さっき手に入れたラムウの力もあるし、大丈夫よ」
先ほど、老人から授かった新たな召喚獣の力。
わたしにとって召喚獣の力は恐ろしいものだけど、使いこなせるようにならなきゃいけない。
でないと……。
先日の苦々しい記憶がよみがえる。
(二度と繰り返してはならないわ)
「おい、二人とも、あれを見ろ!」
前を歩いていたジタンの呼び声に顔を上げると、遠くの方からちらちらと不穏な光が瞬いているのが見えた。
どこからか轟音のようなものも聞こえてくるような気がする。
この先にはリンドブルムがある。
「まさか、リンドブルムが攻撃を受けているの……?」
「ここからだとはっきりとは分からないな、もう少し近づいてみよう」
そんな、まさか、攻撃しているのはお母さま?
またわたしのせいで……。
それでも自分の目で確かめなければならない。
「ええ、急ぎましょう」
はやる心臓に手をあて、わたしは足をはやめた。